最近テレビで見た新しい介護の技術。
その効果の大きさに驚きました。
『ユマニチュード』というものですが、ご存知ですか?
私自身詳しい内容を知るにつれ、
疑問に感じていたことに対する答えもわかり、
大いに納得できる認知症ケアの方法でした。
スポンサーリンク
【ユマニチュードとは?】
『ユマニチュード』、耳慣れない言葉ですが、
フランスで生まれた認知症ケアの方法です。
「人間らしさ」という意味があるそうで、
人間としてのその人の尊厳を重んじ、
その人を大事に思って丁寧に接すること。
相手を思いやる介護は当たり前のことのようですが、
あらためて推奨されているということは、
ちゃんと実践されてはいなかったということでしょうか?
時折ニュースになる介護施設での高齢者虐待の事件。
そういう話を耳にすると、
認知症高齢者の“尊厳”なんて、
どこまで認められているのだろうと思ってしまいますよね。
ユマニチュード実践の介護なら起こりえないことです。
ユマニチュードの、やさしさを伝えるケア技術は、
次の4つの柱で成り立っています。
↓
(1)見る
これはとくに大きなポイント。
認知症になると視野が狭くなり、視力自体も落ちます。
まず本人の視界に入って、こちらの存在を認識してもらいます。
位置は正面から、水平の高さで、そして近距離で、
わりと長く相手の目を見るようにします。
介護でなくても、“目と目を合わせる”って
なめらかなコミュニケーションの重要ポイントですよね。
(2)話しかける
オートフィードバック(実況中継する)という方法ですね。
自分の行動を自分で実況中継するように、
丁寧に言葉に出しながら接していきます。
これから何をするのか、何をしているのかを
わかりやすく言葉に出して行ないます。
たとえば身体を拭く際は
「体を拭いていきましょうね」
「今度は足のほうですね」
「きれいになって、さっぱりすっきりしましたね~」
やさしい言葉を添えて行なえば安心感を抱き、
相手を信頼するようになります。
(3)触れる
手のひら全体で、ゆっくりなでるように、
手の甲からひじまでを包み込むように触れます。
やさしく話しかけながら
“つかむ”のではなく“触れる”のです。
“ボディタッチ”はコミュニケーションの要。
子供や親友に対してさりげなく肩に触れるのはよくやりますね。
触れることは親近感、信頼感を抱いている証です。
認知症高齢者を介護するときも
やさしく触れるボディタッチは大いに効果があります。
スポンサーリンク
(4)立つことを援助する
自分の足で立つことで筋力の維持や骨粗しょう症防止につながります。
人は、自分の足で立つことで自尊心が持てるのだそうです。
でもそれには転倒のリスクが伴います。
骨折させてしまったら大変!と思って、
立ち上がったり、歩いたりを
むしろ控えさせたりしてしまいがちですが、
手を支えて自分の足で立つことを援助します。
【実践すると認知症患者も介護者もやさしくなる】
ユマニチュードは、人としての尊厳を重んじる認知症ケア。
「見る」「話しかける」「触れる」「立つことの援助」
という4つの柱を取り入れた150種類の手法を実践することで、
うつ状態だったり暴言・暴力をふるったりする認知症患者が
穏やかになったという驚きの効果が報告されています。
たとえば、ある認知症の女性の実例。
↓
寝たきりで何を言っても反応がない。
コミュニケーションができない。
食事もとれない。
終末期の患者という判断をしていたのに、
専門家の指導の下ユマニチュードを実践したら、
目を合わせるようになりコミュニケーションがとれた。
劇的な変化!
人間らしさが戻ったのです。
これほど劇的でなくとも、
多くの患者の症状が軽減され、
それに伴って介護する看護師の側も仕事が楽になり、
喜びや充実感を持てるようになった。
というすばらしい結果が得られています。
認知症患者も介護者もユマニチュードによって
穏やかなやさしい心を持てるようになったのです。
様々な認知症患者を介護する仕事は大変です。
多くの業務を次々にこなしていかなければなりません。
しかし
ひたすら職務遂行だけを考えていると、
うっかり患者の尊厳を軽んじてしまうことがあるかもしれません。
そこで立ち止まって、
“認知症患者”としてではなく、
“ひとりの人間”として接することで、
双方の関係性が変わってきます。
認知症の人と介護者の間に信頼関係が芽生えると、
周辺行動の改善という効果が現れるそうです。
これは介護施設にかかわらず、
一般家庭での介護にもあてはまることで、
実際にユマニチュードを試した家族は、
大きな効果に驚きの声をあげているそうです。
私も意識して親の介護に取り入れてみようと思います。
スポンサーリンク